建築探訪ツアー 上野編

梅雨明け前の土曜日、てくてく歩くにはもってこいの天気の中、建築探訪ツアーを開催しました。

普段何気なく歩いている街も、気をつけて歩くとこんなにおもしろんだ!といつもとはちょっとひと味違う都市の味わい方を知ってもらいたく、ふたりで始めた建築ツアーです。

第一弾のメンバーは、演奏や芸術にかける情熱にいつも大きな刺激をいただいている音楽家のお友達、そしてその音楽や美術つながりで集まってくれた方々です。ということで、大学や美術館、音楽ホールなど芸術に馴染み深い上野エリアを取り上げる事にしました。

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まず第一ポイントは、湯島の旧岩崎邸庭園。言わずと知れた三大財閥の一つ三菱の創始者、岩崎家の本邸です。

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広大な敷地に、明治のお雇い外国人ジョサイア・コンドルの設計による洋館、別館ビリヤード場と大河喜十朗の施工による和館が繋がって建っている、和洋併置式の邸宅です。

庭園も日本庭園と芝庭の和洋併置式で日本とは思えない広さ!と思っていたら、昔は現在の3倍近く15,000坪の敷地に和館だけでも550坪もあったというので驚きです。

ここは、ちょうど高台の上にあります。この辺りは本郷台地と言いますが、台地は江戸時代の武家屋敷エリアで、すなわち、お偉いさんが住む、地盤のしっかりした水害の少ないよい土地を買い受けて邸宅にしたのです。

ルネッサンス、ジャコビアン、コロニアルなど様々な様式が風土に合うようミックスされて洋館は年に数回の接待のためだけに使われ、日々の生活は和式だったそうで、明治の洋館の向こうに江戸の風景や生活も垣間見えるとても不思議な建物ですね。

さて次は坂を降りて不忍池を通り抜けて(ここは二つの台地に挟まれた谷地です。台地に対して水の道ですね。)・・・蓮の見頃はもう少し先、大きな葉が青々としています。

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また坂を登ると上野公園、上野台地です。この辺りは、もともと江戸城の鬼門の方角に作られた東叡山寛永寺の広大な敷地の一部でした。(京都の延暦寺と同じで、不忍池は琵琶湖の写し、風水の考え方で都市が作られています。)大火や戦後神仏分離令、上野戦争などで、縮小された寺社地のあとは、明治以降、産業博覧会や見本市のような催し物を開催する広場として使われるようになり、次第に明治、大正政府と東京都によって文化中心として整備されてきたのです。

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その中にあまり知られていないのですが、1627年家康が作らせた上野東照宮があります。当時の憧れであった中国(唐)風の精緻な装飾に囲まれた権現造の神社です。1651年に家光が造営替えしたものがそのまま残っていて、日光にも通じるいかにも家光好みの華やかさがあります。火事の多かった江戸の貴重な建物ですが、当時は徳川家の菩提寺、寛永寺の敷地の中にあったそうです。 神様仏様と私たちはよく言いますが、歴史の中にその境の緩やかな感覚が見いだせることは、ちょっと嬉しいですよね。こんなふうにいろんな考え方が共存出来るようなら、世の中もっと平和になれそうです。

北東に進み、公園の突き当たりには言わずと知れた国立博物館エリアです。その中に私たちの大好きな建物があります。谷口吉生さんの法隆寺宝物殿です。

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日本の様式美の現代的解釈とでもいうのでしょうか、これはまた日本人になじみ深い「わび・さび」の美しさが溢れています。この日見てきた どの建物とも違いますが、日本人ならだれでも共感できるような、シンプルでいながら音や光の巧みな調整がされていて、華やかでいて落ち着く素晴らしい空間です。水盤や、門型のフレーム、大階段などによって組み立てられた空間は、都会の喧噪を忘れさせるようなタイムスリップしたような感覚が味わえます。

貯蔵されている宝物の数々がすばらしいのももちろんですが、その悠久の時を経てきた仏像を「保存」しながら、「展示」するという現代の繊細な技術の粋を集めた建物でもあります。

さて最後は谷地におりて谷中をそぞろ歩き、ここは先ほどの上野台地と本郷台地に挟まれた谷地なので、谷中といいます。寛永寺の門前町として栄えたところで、高台の武家屋敷とは反対に庶民の街なので、街割りは小さく、道が細かく網の目のように通っています。

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岡埜栄泉本店

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観音寺の築地塀

あちこちに風情が残りそれだけでも楽しいのですが、地域の人たちや芸術家が古い建物を様々に再利用してギャラリーやレストランお店などを作っていて活気があるのです。そぞろ歩きだけでも楽しい上にメンバーの一人の方が住人でいろいろと教えて頂いて、ますますまた探検したくなりました!シメは、根津のはん亭で打ち上げ。建物は木造3階建てで、当時の建物が焼けずに残った貴重なものです。犬やらいや急な階段や、2階3階の窓から見下ろす屋根瓦から江戸の活気が伝わってくるようです。そのなかで食べるくし揚げはまた格別でした〜。

hanntei

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上野は今は、桜の名所であり、東京の一大文化エリアですが、なぜこのように人や集まる場所になったのか その成り立ちを地形と歴史から見て行くと、より街が立体的重層的に見えてきて、いっそう愛着が湧いてきますよね。

暑い中、道中一緒に楽しく歩き回ってくださった皆さん、どうもありがとうございました。また違う場所でやってみたいと思っています。

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